2020年8月号
今、という種を蒔く。
![](https://www.iwell.jp/cms/wp-content/uploads/2020/08/topimg-5.png)
絵日記、ドリル、昆虫採取に、工作。この時期になると、子供のころの夏休みを思い出します。
今ではいろいろと高級なカップアイスが売られていますが、
昔は駄菓子屋で買ったアイスキャンデーがどんなに美味しかったことか。
そしておウチでつくるシャーベットなんかも発売されたりして、
冷蔵庫の前でワクワクして凍るのを待ったものです。
また、外で遊ぶときは、熱中症というよりも日射病に気をつけてと、
帽子を被らされていましたね。
![蚊取り線香](https://www.iwell.jp/cms/wp-content/uploads/2020/08/pointimg_01-2.png)
わたしの場合、育ったのが下町でしたので、
夜になると、ご近所さんが家の前に床机を出して、
ラジオでナイター中継を聴きながら、みんなで涼んだり、
花火をしたりして過ごしたりと、けっこう和やかな時間が、
蚊取り線香の煙とともに流れていたような気がします。
そこでよく食べていたのが、スイカ。
あの口の中に広がるみずみずしい甘さは夏の風味そのもの。
種をそのまま食べると盲腸になるよ、とよく言われましたが、本当なのでしょうかね(笑)。
かじってはプッと飛ばしていました。
ところでそのスイカの種。
調べてみると、ちゃんとお世話をして育ててあげれば、実がなるそうですよ。
小玉のものならベランダでも育てられるとか。
しかしその小さな種って、よくよく見てみると不思議なものです。
その一粒の中には、赤く、甘い果実になる情報と力が秘められています。
そして実ると、私たちを美味しく楽しませてくれて、さらに次の種まで残してくれます。
この一粒、それは決して私たち人間にはつくることができません。
あたりまえのようだけど、すごい。
そんなものに囲まれて、そんな力に支えられて、
私たちは生きてきたんだなぁと考えると、やっぱりすごい。
![葉っぱ 自然](https://www.iwell.jp/cms/wp-content/uploads/2020/08/pointimg_02-1.jpg)
真っ黒に日焼けして、いつも今を全力遊んでいたあの頃。
まだここにないものと、もうここにないものの狭間で、ふと立ち止まり、
もうここにないものをさみしく思ったり、惜しんだりする時点で、
私たちは子供ではなくなるのかもしれません。
でも、いくつになっても今という種を植え続けることで、
未来を実らせていくような、そんな種をこころの中に持っていたいと思うのです。
今日も一粒、皆さんは何の種を植えますか。
それはどんな実がなって、どんな味がするのだろう。
あぁ、早く食べてみたい(笑)。