2021年7月号
ひるね、うたたね、心地いいね。
皆さん、こんにちは。よく食べて、よく眠る。
これがわたしの一年を通しての健康法?(笑)ですが、食べ物が美味しい秋ももう間近、とっても楽しみです。
ところで、皆さんはよく眠れてますか?
わたしはお昼を食べたあと、いつもまぶたが重たくなります。
そんな時、ここがスペインだったらいいなぁと思うのです。
そうです、ずっとシエスタに憧れているんです。
シエスタは、スペインの長いお昼休みのこと。
いわゆる昼寝という意味ではなくて、お昼の休憩のことなのだそうですね。
だから必ずしもお昼寝をしなくてもシエスタっていうのだとか。
お昼の13時くらいから2時間ほど休憩し、昼食をゆっくり楽しみ、昼寝をして仕事に戻るというスタイルに、
なんて楽で余裕の生活なんだろうと、羨ましかったのですが、
よくよく調べてみると実は、スペインは日照時間が長く、日の入りが10時近くになるそうで、
昼寝をしたあと、みんな仕事をして、実質的にはなんと8時間以上しっかり働いているとか。
だから仕事が終わる時間が遅くなり、夕食や遊びの時間もいれると、
眠りにつくのが遅くなって、結局スペインの人の平均睡眠時間は他のEUの国に比べても短いのだそうです。
なので国全体の経済を考えると仕事の効率が悪く、
最近はシエスタという習慣も見直されているらしいのですね。
やっぱり現実はそう甘くない。
日本にも昼寝の習慣をあらわす言葉があります。
それは「三尺寝」と言われる大工さんや職人さんのお昼休みの昼寝。
いわれは二つあるそうで、一つは大工さんや職人さんがお昼休みに、
三尺(だいたい90センチくらい)という狭いスペースで昼寝をしたというものと、
お日さまの影が三尺移動するあいだの時間、昼寝をしたというもの。
なんだかのどかで風流な言葉だと思いませんか。
「昼寝をすれば夜中に眠れないのはどういうわけだ~♪」という歌がありましたが、
15~20分くらいの短い昼寝なら、夜の睡眠にも影響ないそうです。
アメリカ航空宇宙局では、昼に仮眠をとった飛行士は、
午後に認知能力が34%、注意力が54%も向上したと報告されているとか。
目をつむって、じっとしているだけでもいいそうなので、
お昼の時間、皆さんも少しのあいだ、まどろんでみませんか。
ちなみにこの「まどろむ」という言葉。
「微睡む」と書きます。微かに、睡る。
微笑みや微風(そよかぜ)と同じようにやさしい感じがしてわたしはすごく好きなのですが、
この「まどろむ」というのは、「目がとろんとなる」、「目とろむ」というのが語源らしく、
とろむは、漢字で瀞むと書き、「水面などが、波立たないで油を浮かせたように静まった状態になる」
という意味です。
居眠りというのと違って、ちょっと品があるようなこの微睡む。
日本語って、意味も音もすごいなぁと思うわたしは、美味しいものを食べてずっと微睡んでいたい。
でもわたしの場合、夜もしっかり眠れるんですよねぇ。
風が吹いています。風を感じています。
その風は、はるかな国の草原のにおいがします。
その風は、かなたの海の波音がします。
その風は、知らない言葉で話す人々の声がします。
風が運んでくるものを毎日感じることができたなら、
それは毎日、旅に出ていることと、同じなのかもしれません。
そんなことに、想いめぐらせ、私の夏も風まかせ。
いつもとちがう道をあるいてみるのも、旅だとしたら
うたったことのない歌をうたってみるのも、旅だとしたら
きょうは何もしないでいようというのも、旅だとしたら
とおくにいるあの人をおもうことも、旅だとしたら
だれかのために料理をつくることも、旅だとしたら
どこかへでかけることだけが、旅じゃないとしたら
まいにちが旅になるのかもしれない
さて、きょうはどんな旅をたのしみますか