2021年8月号
こんにちは、日野わかなです。
みなさん、こんにちは。お気づきの方もいらっしゃるかもわかりませんが、
私は17年間、ずっとフランデールをはじめ、あいうえるの雑誌広告やコラムを書いてきました。
そして毎月みなさんにお届けしているこの「いいな日和」にも
エッセイみたいな詩みたいな文章を書いてきました。
そんな私ですが、今回はじめて自分のことについてお話ししたいと思います。
私はライターという仕事をはじめて、かれこれ30年になる現在52歳です。
小さい頃から本が好きで、母が好きな幸田文や白洲正子をはじめ、いろんな文学にふれてきました。
夫とは出版社で知り合い、結婚。
それと同時に私はフリーのライターになりました。
子供は二人います。
いっとき反抗期がありましたが、長男は大学から一人暮らしをはじめ、
就職した時、初任給でおしゃれな万年筆を買ってくれた優しい子?です。
娘は今、大学生でいろいろと大変ですが頑張っています。
娘と車で買い物に行く時は、よくあいみょんを聴きながらいろんな話をします。
そのひとときが今、私の好きな時間なんですよ。
私の母は、今はもうやめていますが、着物の着付けをずっとやっていました。
その母の着物姿を描いた油絵が、我が家のリビングに飾ってあるのですが、それは母が50歳の頃の姿。
まるで初夏の風を楽しんでいるような凛とした佇まいで、
いつか母のように着物の似合う人になりたいと、ずっと憧れていたのです。
実はその着物、私が成人の時に母からもらったのですが、それを着こなす自信がずっとありませんでした。
でも、その絵の母と同年代になり、ある想いから、
憧れの母に追いついてやろうと、着物が似合う髪を目指し、一念発起したのです。
そして一年がんばった私は、母と同じ着物を着て、油絵を描いてもらいました。
その絵を母の絵の横に並べて、傘寿を迎えた母と、成人を迎える娘の3人で眺めていた時、
娘に「おばあちゃんそっくり」と言われたのは、ついに憧れの母に並べたんだと、すごくうれしかったんです。
そして実は、娘にもこの着物を着こなせる女性になってほしいという想いを込めて、
成人式に贈ろうと思っているのですよ。
こんな感じの私ですが、みなさんはどんなイメージを持たれましたか?
「身につくというのは、ふだん着にきること」。
これは白洲正子の言葉ですが、母から教えられた言葉でもあります。
無理せず、ありのままに、自然に自分のものになっている。
それは着るものに限らず、生きていることすべてに通じることなんですね。
しあわせは、幸せを感じるこころの力だと私は思います。
そんな力を大切にしながら、でもゆるく、
初夏の風のように心地よく、これからも毎日を楽しんでいきます。