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2021年9月号

つきに、想ふ。

いざよい、たちまち、ねまち、さらまち…。さて何のことだかおわかりでしょうか。
実は夜空に浮かぶ月の名前。満月の十五夜の次の夜から、月の出が遅くなっていき、
月が出てくるのがいざよう(ためらう)ようなので十六夜と言われました。
次の夜はさらに月の出が遅くなり、でも立って待てるくらいに出てくるので立待月。
それからだんだんと遅くなり、寝て待つくらいになります。
このように時の移ろいとともに名前が変わっていくのは、
月とともに時が流れていくような、何とも風雅な表現ですよね。

また最近、聞かれるようになったフラワームーンやストロベリームーンは、
ネイティブ・アメリカンによって使われていた呼び名にちなんでいるそうで、
花が咲く頃やいちごが熟す頃の満月ということだそうですね。
ちなみにフランス語で三日月は、クロワッサン。
フランスの人は三日月を見るとおなかが空くのでしょうか(笑)

現在のカレンダーは太陽の動きにもとづいた太陽暦ですが、その昔は月の満ち欠けにもとづいた太陰暦でした。
月を目印に時を知り、月の明りを頼りに暮らすなど、月は暮らしの礎だったのですね。
人は月と密接な関係にあると言われています。新月から次の新月まではだいたい29日くらい。
女性の周期や肌のターンオーバーはだいたい28日で、
月が満ち欠けする周期と同じくして、人の体も潮の満ち引きのように変化していきます。

そんな月ですが、日本人は古くから、月を愛でてきました。
和歌や俳句にもたくさん詠まれ、芭蕉のすべての937句のうち、
月を詠んだものは1割以上の106句におよんでいるそうです。
また、かぐや姫のお話や、お月見、月見そばや月見バーガーが親しまれ、
日本人の暮らしと月は世界でも稀に見る縁の深さです。

花は盛りに月は隈なきをのみ見るものかは

これは『徒然草』の一文。桜は真っ盛りなのを、月はかげりなく輝いているものだけを見るものだろうか。
(いや、そうじゃなくて、むしろ欠けていたり、
雲の裏に隠れたりして見えにくくなった月の方がいいと思うけど)

というふうな意味ですが、日本人の淡く、やさしい美意識があらわれていると思いませんか。

ところで「I love you」というフレーズ皆さんは何て訳しますか?かの夏目漱石は、
なんと「月がキレイですね」と訳したそう。
これは正式な文献に残されたものではなく、逸話として語りつがれているようですが、彼が英語教師をしていた時、
ある生徒が「I love you」を「我、君を愛す」と訳すと、「日本人はそんな風には言いません」と言って、
「月がきれいですね、ぐらいがちょうどいい」みたいなことを言ったとか、言わなかったとか。

いずれにせよ、同じ月を見て、それをきれいと想う心を通わせる、
そんな喜びが表現されていて、慎ましやかな愛の場面が想像できます。
でも奥ゆかしすぎるのも、なかなか伝わりにくい今日この頃ですが、
自分の好きなものやキレイなものを誰かと分かち合えるのは、やっぱり幸せですよね。
そんな私たちを見て、今夜あたり、月はどんなふうに微笑んでいるのでしょうか。

さてさて、今宵、皆さんも誰かを想ってお月さまを眺めてみませんか?

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