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2022年7月号

ことばと、わたし。わたしと、ことば。

こんにちは、日野わかなです。
私はことばと関わる仕事を始めてもうずいぶんになりますが、
いろんな広告や、それにまつわるいろんな想いをことばやデザインで表現してきました。

20代の頃、コピーライターとして、はじめてまかされた新聞広告のことは今でも忘れません。
小さなスペースでしたが、何しろ全国紙なので必死でした。
掲載日の朝、家に届いた朝刊を開いて、そこに自分がつくった広告を発見したときは、
もううれしくてうれしくて。この仕事って、すごく楽しくてやりがいがあるなぁと心から思ったものでした。
それから幾歳月…。

ことばという、想いやこころを表すものを使う仕事というものは、
想いやこころが如実に現れます。
相手の要望をことばにし、表現するということはもちろん大切ですが、
この仕事をずっと続けていると、
ただただ相手の要望に合わせたことばを考えているだけの自分に気がつくことがありました。

忙しさや締め切りにかまけて、機械のようにくり出されたことばたち。
それはまるで数字か記号のようなものです。
そこには体温は感じられないでしょう。
「コツに頼らないこと、いつも白紙に戻すことが大事だと思っている」
というのは作詞家、松本隆さんのことば。

もし、幸せというものをことばで表すとするならば、
皆さんはどんな風に表しますか?私が思い浮かぶのは、
お日さまのあたたかさと、そのにおいをいっぱい含んだふかふかの布団。
その布団はふかふかというそれだけでも幸せですが、
誰かを包み込んであげるという幸せがあります。
そしてそれに包まれて、うたた寝をしているという人の幸せもあります。

そんなあたたかさで包まれ合っているような関係が、
書く人と読む人の関係であったならどんなに心地よいでしょう。
ゴールのないことばとの旅路、これからもことばと遊び、
向かい合い、励まされ、ときにはケンカもしつつ歩んでいくこと。
それが私の幸せなのかもしれません。

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