2024年10月号
風光日々新
大自然の風景は、日々に新たな変化があるという意味の「風光日々新(ふうこうひびあらた)」。
自然が時とともに変化し続けているように、人の心も日々変化しながら成長していくもの。
この言葉は、そんな解釈を含んだ禅語だそうです。
日本人は秋の閑寂の中に「もののあはれ」という、自然の豊かさや美しさを感じてきました。
みずみずしく茂っていた草木も色が失われていきますが、平安時代の人々は、朽ちてゆく木の葉に「朽葉四十八色(くちはしじゅうはっしょく)」とも呼ばれる豊富な色合いを見出したとか。
さらに秋に吹く、稲穂を揺らす風を「金風(きんぷう)」というそうですが、私たちは風にも色を感じてきたのですね。
そして七十二候では、「水始涸(みずはじめてかるる)」と言われる時期を迎えます。
水田の水を抜き、稲刈りに備える頃と解釈されています。
秋は命が入れ替わっていく季節。
虫たちは思う存分歌った後、地中に卵を残していき、植物も色を変え、さまざまな形で種子を残してゆきます。
季語に「水澄む(みずすむ)」という言葉があるように、秋の水はとても静かに佇み、透明な印象があります。
そんな水に心が浄化されるように、私たちの日々も、新しく、楽しく、おもしろく、変わっていくと、いいな。